PPP's Blog

雑コード帳

たばこの煙と匂いの記憶

ぼくが小さなころから、家族はぼくの近くでも遠くでもたばこを吸っていた。車の中で吸うのなんて日常茶飯事だった。だから、知らずのうちにたばこの匂いに慣れてしまったみたいだ。学校に行けば友だちから「たばこ吸ってんの?」と聞かれ、先生からも訝しげに聞かれたこともある。不良の男子がうれしそうな顔をしながら聞いてくるものだから、少しだけ得意げになった記憶がある。

実家を離れてしばらく経つ。ぼくはというと、あんなに毎日たばこの匂いにまみれていたのに、一本も吸うことなく今に至る。喫煙所が設けられたお店で、かすかにたばこの匂いを感じるぐらいしか最近は接点が無かった。しかし、今日久々に思い切り匂いを感じられる機会がやってきた。

朝の喫茶店。そこはお店全体が喫煙可能スペースだった。みな、思い思いの席でたばこをくゆらせていた。ぼくの座る席の隣に座ったおじさん。彼もまた。 あまりに近い場所でかいだその匂いにクラクラしてしまった。そういえばこんな匂いだったなと。少し離れた場所からだと、香ばしさのあるいい匂いなのに、近くでかぐと、すごい刺激を感じる匂いだ。

オフィスでコートを脱ぐと、コートから嗅いだことのない匂いがした。 きっとたばこの匂いなんだろう。でも全く同じそれではなかった。最初はわからなかったけれど、確かにそれはたばこの匂いだった。

良いとも悪いとも思わなかった。

それにしても、たばこの匂いをかいでいい匂いと思っちゃうのは、なんだかなあという気もしなくはない。